こんにちは、ケンです!
省資源・脱炭素の観点から、循環型社会への移行はますます重要になっていますね。
イノベーションの促進、雇用拡大の観点から、サーキュラーエコノミーへの転換が求められています。
その中で、循環型社会を形成するための法体系は廃棄物処理を基本とする規制が中心となっています。しかし、最近の資源価格の高騰、円安進行の中で、国家レベルでの資源確保が急務になってきています。
そこで、循環型社会の法体系及び各国の動きについて記事にしました。
まず初めに・・・
循環型社会とは・・・
「廃棄物等の排出抑制」「循環資源の利用の促進」「廃棄物等の適正処理」により、天然資源の消費を抑制し、環境負荷をできる限り低減する社会ということを意味します。
廃棄物等とは・・・
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)と定義されています(第2条第1項)。
循環型社会を形成する法体系
廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
廃棄物処理法において、廃棄物とは不要物のことですが、何が不要物であるか客観的に判断することは難しいです。
逆に言えば、廃棄物でない状態に変化させることができれば、循環型社会の一助になり得ると考えられます。
(1)廃棄物の再生
再生とは、廃棄物を廃棄物でない状態にする行為である。
再生は、資源循環を考える上で重要な要素と考えられます。
以下のような例が考えられます。
・食品残差を乾燥させて肥料・資料を製造する
・焼却灰を原材料としてセメントを製造する
・がれき類を破砕して再生砕石を製造する
・金属を含有する汚泥を製錬して再生金属を回収する
再生事業は、産業廃棄物・一般廃棄物の処分業を有する事業者が行うことが多く、近年は多くの廃棄物処理業者が廃棄物の再生に努力しています。
排出事業者も、脱炭素・循環型への転換を目指して、単純焼却や埋立処分を行わない廃棄物処理業者を選ばないなど変化してきているようです。
(2)有価物について
一般的には、有償で売却されるもの、すなわち市場価値があると考えられるものについては廃棄物に該当しないと判断されるケースが多いです。有価物の場合、廃掃法の規制はかからないので、契約書・マニフェスト・許可書などといった廃掃法の規制全般は適用されません。
廃棄物処理法の趣旨は環境汚染の防止であるため、本質的には有償売却という事実だけでなく、取引先の適性を評価し、安全な資源循環を確認することも重要になります。
プラスチック資源循環法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)
使用済みのプラスチックによる海洋汚染が国際的な問題になっていることから、プラスチック製品の環境配慮設計、使用の削減、再資源化を促進するために策定された法律になります。
公布日が令和3年6月11日、施工日が令和4年4月1日と最近新たにできた法律になります。
対象となる「プラスチック使用製品」とは、プラスチックが使用されている製品のすべてを含み、プラスチックの使用割合、含有状態の制限はありません。
対象範囲は極めて広く、使い捨ての包装容器、食器類だけでなく、反復して利用するもの、耐久性のあるものを含み、建材、農業・漁業用品、医療機器、電気・電子機器なども含まれます。
同法律の中には、以下のような記載があります。
・寿命の短い部品や消耗部品を使用する場合には、その部品を容易に交換できる構造とすることを検討すること
・製品が壊れた場合、容易に修理することができるような設計について検討すること
・プラスチック使用製品が使用された後等の部品の再利用を可能とするため、再使用が可能な部品を使用すること等を検討すること
このように、同法律は資源循環の起爆剤になる可能性があります。
古物営業法
中古品および中古部品の活用、すなわちリユースは、資源循環を考える上で重要な役割を担っていると考えられます。
古物営業法は、盗品販売の防止、盗品の速やかな発見と被害の回復を目的として成立した法律ですが、現在はフリーマーケット、リサイクルショップやインターネット販売に対応した規制緩和が行われています。
今後、商品の長寿命化を実現するためには、中古部品の確保と流通は重要なポイントとなると考えられます。
また、中古部品を新商品を組み込むことはリファービッシュと呼ばれ、低炭素・省資源の製品づくりが可能となります。半導体部品の不足、レアメタルの枯渇などが発生した場合、さらに中古部品の価値は高まると考えられます。
・廃棄物の再生や中古品をいかに循環していくかが循環型社会形成の鍵である
・国全体でプラスチック排出量削減の取り組みが加速している
EUの動き
2023年3月、欧州委員会は、グリーン・ディール産業計画の一環として重要原材料の安定的かつ持続可能な供給の確保に向けた規制枠組みを設置する規則案を発表しています。
この計画は、2050年までの温室効果ガスの排出ネットゼロを実現するために必要不可欠な重要原材料の確保を内容としています。
ベンチマークとして、域内年間消費用の最低10%を域内で採掘、最低40%を域内で加工、最低15%を生き歳で生産したリサイクル原料で賄うとしています。
2022年3月、EUはエコデザイン指令を大きく変更する方針を打ち出しています。
従来、家電製品の省エネ化を進めるためのものでしたが、今後はサーキュラーエコノミーの観点から、長寿命化、リユース・リサイクル・リペアの可能性、再生資源の利用率を含めた情報の記録と提示を求めるように変化します。
これにより、「リサイクル材が何パーセント使われているか」「どうやって修理すればよいか」「エネルギー性能はどうなっているか」など、情報にアクセスできるようになるようです。
日本の動き
2022年12月、内閣府は、経済安全保障推進法における特定重要物質として、抗菌性物質製剤、肥料、影響磁石、工作機械・産業用ロボット、航空機器の部品、半導体、蓄電池、クラウドプログラム、天然ガス、重要鉱物及び船舶の部品の11物質を政令で指定されています。
2023年3月、経済産業省は「成長志向型の資源自立経済戦略」を策定しています。
ここでは、サーキュラーエコノミーを「市場のライフサイクル全体で、資源の効率的・循環的な利用(再生材活用など)とストックの有効活用(製品のシェアリングや二次流通促進等)を最大化する社会経済システム」と定義しています。
・重要原材料の安定確保が急務となっており、資源循環の必要性が高まっている
まとめ
循環型社会は、廃棄物の削減、リサイクルを推進するためだけではなく、大量消費・大量廃棄から脱却し、社会の変革を促すものであります。
法体系の変化や各国の動きを日々チェックしておく必要がありますね。
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