【環境編②】海洋プラスチックゴミ問題について

環境関係

こんにちは。ケンです。

本日は、海洋ゴミ問題について取り上げたいと思います。

最近、「海洋プラスチックごみ問題の真実」(磯部篤彦著)という本を読みました。

その中に書かれていた内容を私なりに解釈しながら、この記事を書きました。

海洋プラスチックゴミの現状

海洋ゴミや漂着ごみのうち、個体数にして約7割はプラスチックゴミとのことです。

安価で軽く腐食しない性質は、プラスチックの非常に優れた性質です。

・誰でも手に入れることができます

・安価ということは平気で捨てられます

・軽いということは、遠くまで運ばれます

・腐食しないということは、長い期間自然界に残り続けます

以下の表は、環境省による「漂着ごみ対策総合検討業務」調査結果です。

日本の海岸7ヶ所を選んで、2012年度から4年間にわたって評釈ごみの品目を細かく集計したものです。総数は、10万個を超えた非常に大掛かりな調査です。

海岸ゴミのほとんどがプラスチックであるという実態が非常によくわかります。

特にポリエチレンやポリプロピレンといった軽い素材は遠くまで運ばれ、海洋ゴミなりやすいです。

「ロープ」や「発泡スチロール」、「その他漁具」等漁業ゴミも多くありますが、その割合は10~25パーセントと推定されています。

ほとんどは陸上から出たごみと考えられています。

順位品目個数(パーセント)素材
ボトルキャプ、ふた16171(15.5)プラスチック
ロープ16149(15.5)プラスチック
木材(物流用パレットや木炭を含む) 8454( 8.1)
ペットボトル<2L 5268( 5.1)プラスチック
シートや袋の破片 4523( 4.3)プラスチック
ウレタン 4274( 4.1)プラスチック
荷造りバンド/ビニールテープ 4170( 4.0)プラスチック
食品容器(食器/トレイ/調味料容器) 3876( 3.7)プラスチック
ブイ 3478( 3.3)プラスチック
10その他 3034( 2.9)プラスチック
11ストロー/フォーク/スプーン/マドラー/
ナイフ
 2855( 2.7)プラスチック
12流木 2793( 2.7)
13プラボトル<2L 2687( 2.6)プラスチック
14食品容器(カップ) 2638( 2.5)発泡スチロール
15アナゴ筒(ふた、筒) 2430( 2.3)プラスチック
16ポリ袋 2162( 2.1)プラスチック
17その他の漁具 2025( 1.9)プラスチック
18カキ養殖用コード 1815( 1.7)プラスチック
19ライター 1805( 1.7)プラスチック
20発泡スチロールの破片 1766( 1.7)発泡スチロール

プラスチックごみの何が問題か

(1)景観汚染

人気の海水浴場や有名な海岸には、それほど漂着ごみはありません。

誰かが清掃しているからです。

多くの観光客が訪れる場所(=環境資源)は、清掃コストの元が取れます。

しかし、日本の海岸線は長く、そのほとんどは元の取れない海岸なのです。

元の取れない海岸線は、そのまま放置され、漂着ごみが大量に存在し、景観の悪化を招きます。

このように、元が取れる海岸線と、元が取れない海岸線の景観に関する二極化が進んでいます。

(2)生物の誤食

海鳥は、プラスチックや破片をよく誤食します。

過去の調査で29パーセントの海鳥の胃袋からプラスチック片が見つかっています。

ウミガメは2.5gのプラスチック片でも消化管に詰まらせて死ぬことがあるそうです。

誤食の影響として、食欲の減退や体長の低下、消化器の損傷などがあげられますが、

何らかの悪影響を与えることはあるにせよ、海洋生物の生息数の減少させた証拠はありません。

(3)絡まるプラスチック

ウミガメなど海洋生物が、死んで砂浜に打ち上げられることがあります。

プラスチックゴミの誤食は生物を解剖して死因を特定します。

これに対して、ナイロンやポリエチレンといったプラスチックのネットや袋が生物に絡まっている様子は、海岸や船から観察できます。

これまでに誤食が13000件、絡まりは30000件を超えています

漂着ごみの中に漁網があります。

この漁網は海のどこかで捨てられ、漂流したのちに海岸に流れ着いたと考えられます。

漂流中に、魚など多くの海洋生物が絡めとられ、網にかかった生物は死に、しばらくして網から外れます。そしてまた次の海洋生物を狙って海を漂います。

このような漁具への絡まりを「ゴースト・フィッシング」と呼ばれています。

(4)汚れたプラスチック

プラスチックが海に漂ううちに、海水中に薄く広がった汚染物質を表面に吸着させています

プラスチックは石油から作られているため、油と似た性質を持つ汚染物質を吸着しやすい性質があります。

この汚れたプラスチックを海鳥やウミガメなどが誤食してしまいます。

マイクロプラスチックについて

海岸に漂着したプラスチックゴミは、紫外線にさらされ、酸素や水に触れて、次第に劣化します

半年もたてば、引張強度が半減する程度までになります。

その後、海岸の波にもまれ、砂と擦れて、微細なプラスチックに砕けていくのでしょう(微細片化)。

微細片化は海での漂流中ではなく、陸への漂着後に起こると考えられますが、確かなことはわかっていないようです。

今や世界中の至る所でマイクロプラスチックが観測されます。

その中でも日本周辺の海域では突出してマイクロプラスチック量が多いことが分かってきています。

いわゆるホットスポット化している状態です。

日本を含むアジアの国々から出たものが、北上しつつ対馬海流といった海流によって運ばれてくることが原因として考えられています。

南極海から東京までの38地点で冬マイクロプラスチック量を調査した結果もあります。

当然、北半球では海面1kmあたり10万個を超えるマイクロプラスチックが検出されていますが、人間の生活圏よりもっとの遠い南極でも多くのマイクロプラスチックが検出されています。

マイクロプラスチックのない海は世界中どこにもないことを示唆しています。

プラスチック処理の現状

廃棄プラスチックの流れについて

2018年現在、年間約900万トンのプラスチックが廃棄されています

65パーセントが熱回収などを含む焼却になります。

国内での再生利用は17パーセント、国外への輸出が10パーセント、残りは埋め立て処分になります。

廃棄プラスチックについて

下の表は、国別の「管理せずに捨てられた」廃棄プラスチック量です。

順位国名プラスチック重量(トン/年)
中国8819717
インドネシア3216856
3フィリピン1883659
4ベトナム1833819
スリランカ1591179
タイ1027739
エジプト967012
8マレーシア936818
9ナイジェリア851493
10バングラディシュ787327
・・・
32日本143121
世界の合計31865214

我が国のプラスチック廃棄量の900万トンのうち、管理されず廃棄されている量はわずか1~2パーセントにすぎません。99パーセントは適切に処理されているのです。

このことから、プラスチックは少なからず環境中に漏れるもの、と考えるべきです。

環境中に漏れるプラスチック量を減らすには、社会に出回るプラスチックの総量を減らすほかなりません

私たちにできること

政府広報オンラインではこのように発信されています。

プラスチックの3Rを考えながら、プラスチックと賢く付き合おう!

Reduce:マイバックを持参してレジ袋を減らす、使い捨て食器や容器を減らす、など

Reuse:シャンプーや洗剤の詰め替えを使い、ボトルを再利用する、など

Recycle:プラスチックを分離回収し原料として再利用する、再生利用の製品を使う、など

まとめ

海洋プラスチックごみ問題は、世界的にも大きな問題となっています。

1人1人が自分のできることを少しずつ取り組んでいくことが、プラスチックごみ問題の解決につながるのではないかと思います。

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